Magic

19世紀の中頃にアメリカでスピリチュアリズム(心霊術)が生まれ、さまざまのトリックで怪奇現象を起こして大衆に見せていました。心霊術のトリックをマジックに応用して、読心術や予言を主題とするメンタル・マジックと呼ばれる演出スタイルがうまれます。
19世紀の後半はイリュージョンの黄金時代で、その中心はロンドンでした。なかでもピカデリーにあるエジプシャン・ホールは、マジックの常設館として有名でした。スフィンクス(1865年)や、ステージに骸骨の亡霊を現してみせるペッパーの幽霊(1863年)のような大がかりな鏡仕掛けのトリックが上演され人気をよびました。この時代に活躍したマジシャンにマスキリンや、フランスの天才マジシャンのドコルタがいます。ドコルタの「バニッシング・レディー」は、椅子にすわった女性に布をかけ、ひと振りすると女性が消えてしまうあざやかなトリックです。